一番利益が出るビジネスに手を出さない理由

世の中で一番効率よく利益を出せるビジネスって、たぶん「需要が一気に膨らんで単価が吊り上がっている場所に、タイミングよく供給をぶつけるモデル」だと思います。

数年前のタピオカブーム。原価100円もしないドリンクが600円、700円で飛ぶように売れていました。出店すれば行列ができて、出せば出しただけ売れる。あの時に動けた人は、短期間でかなりの利益を出しています。高級食パンも同じ構造でした。一斤800円から1,000円のパンが開店直後に売り切れ、フランチャイズで全国に一気に広がっていきました。

少し毛色が違いますが、人気スニーカーやコンサートチケットの転売、最近の金価格の高騰や暗号資産の値動きも、本質的は一緒です。需要が供給を大きく超えている場所に、動ける状態で入っていける人が利益を取る。

こういう需要過多の市場をスピード重視で満たしにいくモデルは、売り抜けるタイミングさえ見誤らなければ、大きな利益を取れることは間違いありません。

ただ、バリューインクリースはこういうビジネスをやりません。今のところ手を出すことも考えていません。

なぜか。うちは、長期的に繁栄することを前提とした会社だからです。そして、クライアントにも長期的に繁栄してもらうための提案をしたいと思っているからです。今日はその話を書きます。

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トレンドビジネスは、積み上がらない

トレンドに乗るビジネスは当たれば大きい。これは事実です。ただし、当たった瞬間がピークで、あとは衰退していくしかない。タピオカ屋が今どれだけ残っているか、高級食パン屋が今どれだけ残っているか、コロナ初期にマスクを売っていた人たちが今何をしているか、フィットネスバブルで出店しまくったジムがどうなったか。トレンドは必ず終わります。そして終わった瞬間、それまで積み上げてきたものはほとんど価値を失います。

ここが肝心なんですが、トレンドに乗っている間、自分の中には何が積み上がっているのか。売上は積み上がります、一時的には。でも、技術は積み上がりにくい。需要に供給を間に合わせるのが正解になる場面が多いから、深い知見を磨く時間がない。顧客との関係も積み上がりにくい。一見客が大半で、リピートを前提にしていないから。そして何より、長く続かない。一発当てて、終わったらまた次を探して、また当てて、また終わって。これが延々と続きます。

長期的に繁栄したい会社にとって、これは一番やりたくないモデルです。走り続けないと止まる。止まったら何も残らない。そういう経営を、うちはしたくない。

僕の性格的にも、トレンドに乗って一気に売上を伸ばすより、良い商品やサービスを提供してお客さんから感謝されて、その結果として売上が増えていく方が好きです。「ブームに乗って売れた」ではなく、「いい仕事をしたら感謝される、感謝されたから次も任せてもらえる、結果的に売上が増えていった」という順番の方がしっくりきます。

変わらないニーズに張れば、長く繁栄できる

では、長期的に繁栄するには何に張ればいいのか。答えはシンプルで、昔から変わらないニーズです。

お腹が空いたら食べたい、髪が伸びたら切りたい、人を採用したいなら良い人に来てほしい。こういうニーズは何十年経っても消えません。一方でブームは、お客さんが買っているのが商品ではなく「その時の空気」なので、空気が変われば売れなくなる。タピオカで人が買っていたのは、飲み物そのものより、映えやトレンドに乗っている感覚の方が大きかったはずです。

ここで一点、よく誤解されるので補足します。「ニーズに張る」と「手段に張る」は別の話です。

たとえばSEOやWeb制作。今は有効な手段ですが、検索の仕組みが変わったりAIが進化したりすれば、やり方自体が廃れる可能性は十分あります。実際、僕自身もAIで業務をかなり置き換えてきていて、数年前の作業の半分以上は今は別のやり方になっています。手段はどんどん変わる。でも、「集客したい」「売上を伸ばしたい」「良い人を採用したい」というクライアントのニーズは変わりません。

だからうちは、手段ではなくニーズに張っています。10年後にSEOという言葉が使われていなくても、たぶん弊社は集客支援をやっています。Web制作という言葉が死語になっていても、たぶん弊社はクライアントの売上を伸ばす仕事をしています。提供するサービス名は時代に合わせて変わっても、「事業を伸ばしたい人・企業を支援する会社」というポジションは変わらない。だから長くやれる。

お金では手に入らない優位性を追う

ただし、変わらないニーズの市場は、当然すでに飽和しています。Web制作会社もSEO会社も採用支援会社も、世の中にはいくらでもある。長期的に繁栄するには、その中で選ばれ続ける理由、つまり競合優位性が要ります。

ここで僕がこだわっているのは、お金では手に入らない優位性を作ることです。

世の中の優位性には、お金で買えるものと買えないものがあります。広告費をかければ露出は買えるし、人を採用すれば対応力は買える。良いツールを導入すれば効率も買える。でもこういうものは、資金力のある競合が同じ金額を出せば、簡単に追いつかれます。お金で買えた優位性は、お金で崩されるからです。

一方で、お金をいくら積んでも手に入らない優位性があります。クライアントと何年もかけて築いた信頼関係。成果を出したお客様が自分の言葉で語ってくれる声。一社一社に向き合ってきたから蓄積された、その業界ならではの知見。こういうものは、後から資金を投下しても買えません。時間をかけて、ちゃんと成果を出して、感謝してもらう。その積み重ねでしか手に入らない。

だからこそ、これは強い。真似できないし、お金で崩されない。一度築けば10年も20年も効き続ける、本物の競合優位性になります。これこそが、長期的に繁栄するための土台だと思っています。

派手な戦略ではありません。技術を磨いて、成果を出して、お客様の声を一つずつ積み上げて、地道に信頼を貯めていく。1年や2年でどうにかなる話じゃない。でも、お金で買えないものを持っている会社は、強いんです。

だからバリューインクリースには、今のところ明確な売上目標もありません。毎年200%成長、みたいなことも求めていません。目の前のクライアントにちゃんと向き合って、感謝してもらえる仕事をして、価値を提供していった結果、その積み重ねで会社が少しずつ強く大きくなっていく。自然と拡大していく経営が理想です。

クライアントにも、長期的に繁栄してほしい

そして、この思想はクライアントへの提案にもそのまま反映されます。うちが大事にしているのは、クライアント自身に長期的に繁栄してもらうことだからです。

だから「短期で爆発的にバズらせる」みたいな話はあまりしません。やろうと思えばできなくはないですが、バズって一瞬で売上が立っても、ブームが去れば元に戻るだけ。クライアント側に資産が残らない手法を勧めるのは、長期繁栄を一緒に目指すという考え方と違うからです。

代わりに提案するのは、良いコンテンツを積み上げる、サイトの構造を整えて集客導線を作る、採用ページを育てて「ここで働きたい」と思う人が継続的に来る状態を作る、お客様の実績を詳しく掲載する。こういう、資産になる施策です。しかもお客様の声や実績は、まさにお金では買えない優位性そのものです。最初の3ヶ月は派手な数字が出ないこともあります。でも半年後、1年後、3年後に振り返ると、確実に積み上がっている。

単発で「成果が出ましたね」と終わる関係より、毎年少しずつ強くなっていく事業を一緒に作っていく関係の方が、クライアントにとっても自分にとっても価値が大きいと思っています。

最後に

世の中には、ブームに乗って一気に売り切る人もいれば、毎日同じ場所で店を開け続ける人もいます。どちらが偉いという話ではありません。

ただ、バリューインクリースは後者です。今日も明日も来年も同じ場所で店を開けて、少しずつ精度を上げて、少しずつ信頼を増やしていく。派手ではないけれど、年々強くなっていく。本質的なニーズに向き合って、その時代に合った手段で、お金では買えない優位性を積み上げていく。

そうやって長期的に繁栄していきたいし、クライアントにも、同じように長く繁栄してもらえる支援をしていきたいと思っています。

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