個人のお客様向けのサービスを、一人で営んでいる。ホームページはあるけれど、そこから新しいお客様が来ることはほとんどない。そういうご相談をいただいたとき、私たちがまず考えるのが、ここに書く作り方です。
一人法人が、比べられて負ける場所
お客様がサービスを選ぶとき、たいてい複数の候補を並べて見ます。そのとき、施工台数、スタッフの数、店舗の数、創業年数、といった項目で比べられると、一人でやっている会社は分が悪くなります。数だけを見れば、規模の大きい会社のほうが安心に見えるからです。
そして、多くの一人法人のホームページは、会社案内の型で作られています。サービス一覧、料金表、会社概要、アクセス。規模の大きい会社と同じ型なので、同じ項目で比べられることになります。比べられる項目で、勝てる材料が少ない。ここで選ばれなくなっている場合が多いように思います。
一人でやっているからこそ、持っているもの
一方で、一人でやっているからこそ持っているものがあります。
営業から施工、アフターフォローまで、同じ人が担うこと。誰に任せたのかが、最初から最後まではっきりしていること。ノルマや歩合がないので、お客様に必要のないものを勧める理由がないこと。
規模の大きい会社は、分業で成り立っています。窓口の人と、実際に作業する人は別です。これは仕組みとして自然なことで、悪いことではありません。ただ、「この人に頼む」という選び方は、分業の中では成り立ちにくいものです。一人法人には、それができます。
会社ではなく、代表個人に信頼を集める
そこで私たちがお勧めしているのが、代表個人に信頼を集めるホームページです。会社案内の型ではなく、代表がどういう人で、なぜこの仕事をしていて、何を大事にしているのかを中心に据えます。読んだ人が顔を思い浮かべられて、「この人に頼みたい」と思える状態を作ります。
中心になるのは、代表あいさつです。ただし、経歴と挨拶文を並べただけのものでは足りません。私たちがご一緒するときに入れているのは、次のようなことです。
- なぜこの仕事を始めたのか。原点になった出来事。
- どんな道を歩んで、何を身につけてきたのか。
- この仕事で何を大事にしているか。何をしないと決めているか。
- どんなお客様に合っているか。
- 仕事以外の顔。
この中で一番効くのは、三つ目だと考えています。その業界のことをよく知っている人が、それを踏まえて何を大事にしているかを書くと、読んだ人は「この人は分かった上でやっている」と受け取ります。技術の説明よりも、こちらのほうが信頼につながります。
なぜ、個人向けのサービスで効くのか
個人のお客様は、人で選びます。特に、金額が大きい、失敗したときに取り返しがつきにくい、自分の大事なものを預ける、といったサービスほどそうです。車、家、体、お金に関わるサービスは、その典型です。
法人が発注するときは、担当者が社内に説明する必要があるので、実績や規模が判断材料になります。個人にはその必要がありません。信頼できると感じた人に頼めばよいので、人で選ぶ余地が大きくなります。
実際にあった例:カービューティープロ尾山台様
車のコーティングとレザーリペアを手がける、カービューティープロ尾山台様のケースです。ご相談時のサイトは10年以上前のもので、スマホに対応しておらず、新規の問い合わせはほとんどありませんでした。集客はリピーターと口コミの紹介に頼っている状態でした。
最初にやったのは、代表の田中様の強みを洗い出すことでした。営業から施工、アフターまで田中様お一人で担っていること。24年で3,000台以上を手がけてきたこと。パテを使わないレザーリペアの技術があること。多くの競合が営業と施工を分けている中で、一人で一貫していることは、真似のできない強みでした。
代表あいさつには、田中様の昔話から書いていただきました。子どもの頃から乗り物が好きだったこと。高校生で初めて自分のお金で買った原付。自分の部屋に持ち込んで分解した、1975年式のモンキー。23歳でこの仕事を決めたこと。そこから塗膜別の研磨や、革の技術を一から学んだこと。
そして、車業界のよくない部分も知った上で、正直に仕事をしたいという想い。短期的な売上を考えれば高額な商品を勧めるのが正解だと分かっていて、それでもお客様の使用状況を聞いて最適なものを提案することがプロの責務だと考えていること。この部分が、あいさつの中で一番大事なところだと考えています。
このあいさつを読んだ人は、田中様がどういう人で、頼んだらどう扱われるのかを、頼む前に知ることができます。
結果として、2022年8月から2024年5月にかけて、月間の訪問者数は300人から3,900人へ、月間の問い合わせは7件から37件になりました。予約は3ヶ月先まで埋まり、開業以来最高の年商を更新されています。数字に加えて、お客様から「ホームページを見て、田中さんに頼みたいと思った」と言われたことがある、と伺っています。会社ではなく、田中様個人が選ばれています。
もう一つの例:横浜の不動産会社
横浜で不動産の仲介をされている、一人法人の代表の方のケースです。業界に25年以上いて、40代後半で独立された方です。
ホームページをリニューアルするにあたって、代表あいさつに、これまで歩んできた道と、独立した理由、一人でやっているからこそできることを書きました。大きな会社には、ノルマもインセンティブもある。だから手数料にならない案件は後回しになり、売らないほうがよいという提案は出しにくい。自分にはどちらもないので、今は売らないほうがよいとも言えるし、手数料が数万円にしかならない案件でも、意味があると思えば引き受ける。そういうことを、ご本人の言葉で書いています。
公開後、そのあいさつを読んだうえでの問い合わせが来るようになりました。不動産は、人生で一番大きな金額が動く買い物です。誰に相談するかを、人で決める人が多い領域だと思います。
前提として、人が来ていなければ始まらない
ここまで書いた作り方は、来た人を逃さないための作り方です。そもそもサイトに人が来ていなければ、あいさつがどれだけ良くても動きません。尾山台様も、代表あいさつだけを整えたのではなく、検索対策で人を集めることとセットで進めました。集客と、来た人が選べる作り。両方が揃ってはじめて数字が動きます。
人が来ていないかもしれない、という方は、先にこちらをご覧ください。
効きにくいケース
この作り方が合わない場合もあります。
匿名で買われる商材。ネット通販や、価格だけで比較されるサービスでは、誰が売っているかは選ぶ理由になりにくいです。
法人のお客様が中心の場合。担当者が社内に説明する材料として、実績や規模のほうが必要になります。
代表ご本人が、前に出たくない場合。あいさつはご本人の言葉で書くもので、代わりに作った人物像は長く続きません。書きたくないことを無理に書くよりも、別の作り方を考えたほうがよいと思います。
まずは、現状を見せてください
いまのホームページで、代表の顔と考え方がどこまで伝わっているか。そもそも人が来ているのか。まずは今の状態を見せてください。その場で、どこから手をつけるのがよさそうかをお伝えします。無理な営業はしません。相談だけで終わっても、まったく構いません。


